ミレーナとは
ミレーナは、黄体ホルモンが付加された避妊具であり、新しいタイプの子宮内避妊システムです。子宮内に黄体ホルモンであるレボノルゲストレルを持続的に放出するため、5年間という長期にわたって高い避妊効果を発揮します。また、ミレーナは生理の量が多い、生理痛が強いといった月経に関する症状の改善にも有効性が認められています。
ミレーナとピルとの違い
避妊失敗率は、ピルが0.6%、ミレーナは0.14%であり、ミレーナはピルより優秀です
ミレーナはいったん入れてしまえば効果を発揮し続けるため、ピルのような服用し忘れがありません
ピルは全身に作用を及ぼしますが、ミレーナは子宮とその周辺にのみ作用するため副作用が少なくなっています
ミレーナには血栓症リスクがありません
喫煙者、40歳以上でもミレーナを入れることができます
子宮外妊娠を回避することはできません
ミレーナをおすすめできる方
- 避妊のためのピル服用ができない(40歳以上・喫煙者・血栓リスクが高い方など)
- 月経困難症
- 過多月経
- 子宮腺筋症
- 単純型の子宮内膜増殖症
※子宮腺筋症については特にミレーナが優れた治療法とされています。
ミレーナが適さない方
- ミレーナの成分に対して過敏症がある
- 性器癌、黄体ホルモン依存症腫瘍にかかっている、またはその疑いがあるといわれたことがある
- 月経以外の異常な性器出血がある
- 医師に子宮の形や位置に異常があるといわれたことがある(子宮腔の変形があるような生まれつきの異常または子宮筋腫を含む)
- 性器感染症(子宮内膜炎、卵管炎など)がある
- 過去3ヵ月以内に性感染症にかかったことがある
- 子宮頸管炎または腟炎にかかっている
- 現在、骨盤内炎症性疾患(PID)にかかっている、または何回もPIDを繰り返している
- 過去3ヵ月以内に分娩後子宮内膜炎または感染性流産を経験したことがある
- 異所性妊娠(子宮外妊娠)を経験したことがある
- ミレーナの子宮内への挿入時や子宮の入り口(頸管)を拡張する時に強い痛みがあったり、脈が遅くなったことがある
- 重い肝障害または肝腫瘍がある
- 現在、妊娠している、または妊娠の可能性がある
ミレーナの効果
ミレーナには高い避妊効果があり、いったん入れてしまえばその効果を5年間発揮し続けます。また、ミレーナの成分であるレボノルゲストレルは子宮内膜の増殖を抑えるため、装着した5年間で生理の量はかなり減ります。これにより生理がなくなる人が10%ほどありますが、きちんと排卵はありますし、外せば妊娠が可能です。
ミレーナの薬剤は子宮内膜のみに作用するため、全身への影響が少なく、吐き気や血栓リスクなどの副作用もピルに比べるとほとんど心配いりません。生理が重い方はその改善に大きく役立ちます。また、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮筋の中に内膜症がある子宮腺筋症で生理が重い方には特に高い症状改善効果を見込めます。
喫煙している方や40歳以上の方でも安心して治療を受けることができ、ピルでは服用をうっかり忘れてしまうことが多い方にも向いています。
過多月経・月経困難症の治療としても有効
ミレーナに付加されている黄体ホルモンのレボノルゲストレルは子宮内膜の増殖を抑える作用を持っています。これによって子宮内膜が薄くなり、月経量が減少します。避妊目的の場合は自費ですが、過多月経や月経困難症の治療としてミレーナを入れる場合には健康保険が適用されます。
ミレーナのメリット
装着後は、ミレーナの成分であるレボノルゲストレルにより子宮内膜が育たなくなりますので、徐々に月経量が減少していきます。月経回数自体も減っていき、約10%に月経が起こらなくなります。ミレーナ装着中に生理が来なくなっても、そのほとんどは妊娠ではありません。
ミレーナの副作用
主な副作用
月経出血日数の延長・月経周期の変化・卵巣のう胞・月経時期以外の出血・腹痛など
重大な副作用
骨盤内炎症性疾患(PID)、子宮外妊娠、穿孔、卵巣のう胞破裂など
装着後数日間に現れる可能性がある症状
出血・下腹痛・腰痛・おりものなど
装着後3ヶ月~6ヶ月に現れる可能性がある症状
月経時期以外に少量の出血が続く
装着後に現れる可能性がある症状は、日数の経過と共にほとんどが消失していきます。
こうした副作用や症状の発現率、症状が続く日数には個人差があります。
ミレーナの注意事項
脱出について
必ず定期検診を受け、正しい位置にあるか定期的に確認してもらいましょう。
まれに気付かないうちに脱出してしまうケースがあると報告されており、国内の臨床試験では、装着後1年間の脱出率は1.5%とされています。
子宮口周辺に糸がありますが絶対に引っ張らない様にして下さい。
装着について
月経中に挿入致します。また痛みが伴います。
注意が必要な症例
子宮腺筋症
子宮筋層厚が5cmを超えている場合、月経困難症の症状改善効果を得にくく、ミレーナ脱出率が上昇することがあります。
子宮筋腫
筋腫が2.5cmを超えている場合、筋腫の種類を問わず脱出リスクが高くなります。また、粘膜下筋腫(内腔突出率が10%以上)や粘膜下筋腫がない場合でも、筋腫自体が子宮内膜に近い位置にあると不正出血が続くことがあり、脱出リスクも上昇します。
ミレーナの費用
月経困難症や疾患治療として行う場合、健康保険適用となります。
保険診療の場合 | 約10,000円(5年間有効) |
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避妊目的の場合(自費) | 77,000円 |
※低容量ピルは保険適用で1ヶ月約2,000円程度ですから、5年間服用した場合薬代だけで120,000円となります。ミレーナは自費でもその半分以下の費用に抑えられます。